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シンエイ工業のよもやま話~12~

皆さんこんにちは
株式会社シンエイ工業の更新担当の中西です

 

鉄骨加工の成果物は「鋼材」だけではありません。モデル・図面・リスト・NCデータ・証憑をワンセットで納めて、はじめて現場が止まらず回ります。特に近年はBIM連携(IFC)、3D干渉チェック、DSTV/NC1出力、バーコード連携、改定管理(R管理)が“品質そのもの”として評価されます。本稿では、Tekla Structures等のBIM/CAD運用を前提に、受領→モデル化→接合設計→工作図→リスト→NC→承認→改定→出荷の実務を、現場がスムーズに建方できる粒度で解説します。🧭

 

1|上流入力を“整える”:受領情報の標準化 📨
• 受領データ:意匠・構造のIFC/REVIT/RVT、2D図(DWG/DXF/PDF)、仕様書、設計条件、荷重条件、接合方針、仕上げ(塗装/めっき/耐火)。
• 不明点のRFI:柱脚形式、柱梁接合(ダブルスカラップ/裏当て/全溶込みの要否)、高力ボルト等級・表面処理、ブレース端部、スリーブ・ダクト開口などはRFIで設計合意を取る。📝
• グリッド・レベル統一:通り芯・階高・基準レベルの共通座標を確定。モデル座標を実施設計モデルに追従させ、後工程のズレを防ぐ。

 

2|モデル作成と接合設計:干渉を先に潰す 🧩
• 部材入力:柱・梁・ブレース・胴差・母屋・間柱・階段・手すり・デッキ受け。部品属性(鋼種・板厚・長さ・切欠・仕口)を早期に埋める。
• 接合コンポーネント:エンドプレート、スチフナ、仕口プレート、スカラップ形状、開先、座金・シム、現場溶接/ボルトの明確化。
• 干渉チェック(Clash):梁貫通孔、スリーブ、デッキハンガー、階段・手すりのクリアランス。3Dで可視化→スクショ添付して設計合意を得る。📸
• 耐火被覆厚・仕上げ厚:部材干渉に影響。被覆厚の“余裕値”をモデル属性に保持しておくと後の手戻りを回避。🔥

 

3|部品符号・組立番号・番付ルール:現場で“迷わない”記号体系 🔤
• 部品番号(Part No.):同一形状・同一仕様は同一番号で束ねて製作ロットを最適化。異なる穴ピッチ・開先は別番号。
• 組立番号(Assembly/Single):現場の建方順序に合わせて通し番号化。階×通り×スパンのロジックを持たせ、番付表示に反映。
• 表記統一:文字高さ、配置、矢印方向、表裏の表記。逆付け・左右違いをゼロにする“視覚一貫性”。🔍

 

4|工作図(ショップ図)と承認図:AFC(Approved For Construction)までの道筋 📄✅
• 出図セット:①総合図(GA/Erection) ②組立図(Assembly) ③部品図(Single) ④ボルトリスト ⑤部品表(BOM) ⑥開口図/取合図 ⑦塗装仕様書。
• 寸法・公差:基準面、通り芯からの距離、直角・ねじれ・のど厚、穴径・ピッチ・面取り。測定基準を図中に明記。
• 接合記号:溶接記号(JIS/ISO)と高力ボルト表記(座金・ナット・座面処理)。記号の辞書を図枠に掲載。
• 承認ワークフロー:社内チェック→客先レビュー→コメント戻し→改定(R)→承認(AFC)。コメントログは案件フォルダで一元管理。🗂️

 

5|リスト化と見積・段取り:データで“勝つ” 📊
• BOM/BOQ:材料・部品・ボルト・塗装量を自動集計。材料歩留り計画と配材発注に直結。
• 建方順リスト:先行梁、仮設ブレース、クレーン可搬重量、揚重回数を前提に出荷順を並べ替え。
• 荷姿・梱包:現場クレーンのフック荷重・高さで吊り数を決め、ラッシング計画へ連動。🚚

 

6|NCデータ(DSTV/NC1/DXF)出力と現場設備連携 🧠⚙️
• DSTV/NC1:ドリルライン・バンドソー・コーピング・開先機・サーマル切断機に直結。孔位置・切欠き・マーキングをデータで指示。
• ポストプロセッサ:機種ごとの原点定義・回転方向・ツール番号を合わせる。テスト材で“穴芯ズレ”を検証してから量産。
• ケガキ・刻印:NCマーキング or レーザーマーキングを活用し、番付・向き・吊り位置を現物に転写。現場での取り違いゼロへ。🏷️
• エラー対策:NCエラーは図面改定の見落としが原因になりがち。NC再出力→版番号更新→作業指示をワンセット運用に。🔁

 

7|改定管理(R管理)と差分配信:混乱を“構造的に”防ぐ 🧭
• 改定記号R:AFC後の変更はR1, R2…で管理。図面右下に改定履歴表、モデルにはリビジョン属性。
• 差分配信:変更範囲のみ雲マークと色分けで強調。現場配布は古い版の回収までがセット。
• BIM比較:前版vs新板を3Dで比較し、削除/追加/変更を色別ヒートマップで提示。📶

 

8|チェックリスト&図面テンプレ:誰がやっても同じ品質に ✅
• ショップ図チェック
☐ 基準寸法(通り芯・レベル)にブレなし/寸法起点が明示
☐ 穴径・ピッチ・面取り・摩擦面の注記完備
☐ 隅肉のど厚・溶接長・姿勢の記号が規格通り
☐ 柱脚詳細(ベースPL厚・アンカー配置・座金/ライナ)明記
☐ ブレース端部のエンドプレート・座屈拘束の取合い
☐ 塗装仕様(前処理、膜厚、色、可否部)/めっきの前後工程
☐ 部品番号・組立番号・番付表記の一貫性
• NCデータチェック
☐ 原点・回転方向・ツール番号の整合
☐ 角度孔・長孔の座標と姿勢
☐ マーキング内容(番付・向き・吊り位置)
☐ 試し加工材での穴芯・ピッチ検証(±0.5mm基準など社内基準)
• 改定配布チェック
☐ 旧版回収記録/新旧対照表の配布
☐ 変更箇所の雲表示/色分け
☐ 現場・工場・協力会社の配布先リスト更新

 

9|現場(建方)へ効く“情報の形” 📦🏗️
• 建方図/Erection Plan:揚重順序・仮設ブレース位置・高力ボルトの仮締エリア・本締順序を1枚で示す。
• ボルトスケジュール:部位別の本数・長さ・ワッシャ構成。回転角法/トルク法の採用とレンチ校正日を併記。🔩
• マーキング:現物の番付・向き・階・通り・スパンの読みやすさ。貼付シール+刻印の併用で可読性UP。
• 是正指示:軽微な穴修正・座金追加・肉盛りなど現場是正の許容範囲を表にして配布。

 

10|データ連携・DX:バーコードとダッシュボードで“止まらない工場”へ 📲
• バーコード/QR:部品番号に紐づけ、受入→加工→検査→塗装→出荷→現場受入までスキャンで追跡。トレーサビリティと進捗が同時に取れる。
• ダッシュボード:WIP、工程滞留、改定件数、一次合格率、NCエラー件数、出荷準備率をリアルタイム可視化。📊
• テンプレ資産:図枠・記号辞書・チェックリスト・承認フロー・RFI雛形を案件使い回しできる形で整備。

 

11|“今日から使える”運用Tips 💡
• 座標と基準の一本化:意匠・構造・設備の座標ズレを最初に潰す。ズレ=生涯クレーム。
• AFC前の先行加工は原則禁止:やむを得ないときは限定承認の記録と範囲を明確に。
• 改定は“通知→回収→配布”の3点セット:どれか1つ欠けると事故る。
• “読む前に見せる”:3Dビュー・アニメGIF・短尺動画で現場に伝える。テキストより視覚。🎥

 

まとめ 🧭
工作図・BIM/CADの真価は、「図面を描く」から「現場を止めないデータ運用」へ発想を転換できるかに尽きます。モデル→図面→リスト→NC→承認→改定→出荷のチェーンを一気通貫で標準化し、可視化とトレーサビリティを両立させれば、手戻りは激減し、納期と粗利が安定します。次回は高力ボルト完全攻略。F10Tの基礎、仮締め→本締め→確認、回転角法/トルク法、摩擦面処理、レンチ校正まで“現場で効く手順書”を作ります。🔩📘

 

 

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